ゲストとホストの「出会い」に常に注意を払うべき

中井治郎『パンクする京都』(星海社新書)

アジア系外国人観光客のなかでもとくに中国からの訪日観光客が急増する一方、内閣府による「外交に関する世論調査」では2014年に中国に対して「親しみを感じない」比率が過去最高に達して以来、「冷めている」どころではない「冷え切った」好感度を示す数字が続いている。

これはもちろん近年の外交上の問題も背景にはあるが、日本でお金を落とす外国人観光客がもてはやされる一方で、この章で述べてきたような日常生活で出会う彼らへの不満やヘイトが社会で少しずつ高まっていることも事実である。

観光はたしかに観光客というゲストと地域の人々というホストの「出会い」である。観光客の数というのは、その数だけ、この二者の出会いがあったということでもある。だからこそ、単なる数字の多寡に一喜一憂するのではなく、この二者がどのような出会い方をしているのか、人々はその出会いをどのように経験し、そこにどのような意味を見出しているのかには常に注意しなくてはならない。

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