担当者を孤独にさせてはいけない
クレーマーの担当者は、第三者が感じているよりも孤独な立場にある。クレーマーからの執拗な電話を受けつつ、日頃の業務もこなさなければならない。周囲の同僚は「大変だね」と声をかけてくれるが、具体的なサポートをしてくれるわけではない。
しかも、まじめな人ほど周囲に助けを求めることを躊躇して、「自分で何とかしなければならない」という気持ちになる。クレーマーは、そういった孤独な立場をかぎ取って活用することに長けている。いったんクレーマーの要求に応じてしまうと、「やってはいけないことに手を出した」という歪な連帯感がクレーマーとの間にできてしまう。
結果としてさらなる不当な要求にも応じてしまうために会社の金銭に手をつけてしまうことすらある。「会社のために」と頑張っている人が違法なことに手を染めるようなことがあってはならない。どんなことがあっても担当者を孤独にさせてはいけない。そのためにも担当者との綿密な情報共有が必要である。
周囲を使って担当者を間接的に追い込む
誰かを攻めるとき、相手を直接的に攻撃するよりも、周囲の者を通じて間接的に攻撃し
たほうが効果的なケースがある。これはクレーマーもよく利用する方法だ。
クレーマーは、断固とした姿勢を貫く手堅い会社をいかにして崩していくかについて思
案している。繰り返し攻めたところで芸がない。そこで会社が信頼している者、あるいは頭の上がらない者をあえてターゲットにして、プレッシャーをかけてくる。
そうなると「あなたのところの苦情がうちにやってきて困っている。早く解決して」と第三者から言われてしまうことになる。こうなってくると、せっかくクレーマーに対して毅然とした対応をとっているのに後ろから矢が飛んでくるようなものだ。
フランチャイズ本部経由で間接攻撃をかける
あるフランチャイズの飲食店を展開する会社では、中年男性から「買い物袋を店舗に忘れたが、見つからないから責任を取れ」という趣旨のクレームが入った。会社として調べる限り忘れ物はなかったので、その旨を店長が説明した。それから男性からの執拗な電話や面談要求が始まった。
会社としては、クレーマーに対して「いかなる賠償にも応じない」という姿勢を貫いて
いた。根拠のない要求に賠償として応じていたら終わりがない。飲食店はもともとクレームを受けやすい業種である。