企業に悪質なクレームや理不尽な要求を突きつける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の存在が問題になっている。弁護士の島田直行氏は「カスハラの当事者はさまざまな罠を用意し、担当者を会社内で孤立させることで、物理的にも精神的にも攻撃してくる。個人ではなく会社として対応することが重要だ」という――。

※本稿は、島田直行『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

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クレーマーが仕掛ける見えない罠

クレーマーは、単に大きな声を出すだけではない。声が大きいだけなら無視すればいいので対処も簡単だ。実際には、いろんな罠を用意してくる。

島田直行『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』(プレジデント社)

クレーマーが仕掛けてくる罠は、「それが罠だ」とはなかなかわからない。少なくとも対応している担当者は緊張もしているので、自分が静かに蟻地獄にはまっていることに気がつかない。弁護士に相談して我に返ってはじめて、「自分は相手のペースにはめられていた」とわかる。

そこで典型的なクレーマーの罠についていくつかご紹介しよう。もしもクレーマー対応に苦しんでいたら、自分が彼らの罠に陥っていないか考えていただきたい。

クレーマーは、相手にミスがあるとわかると、徹底的に糾弾してくる。ミスの程度にはいろんなレベルがある。軽微なミスもあれば、重大なミスもある。本来であれば、負うべき責任の範囲も、ミスの有無及び軽重に応じて検討するべきものだ。