なかなか電話を切らせてくれない悪質クレーマーとのやりとりでは、なにを気をつければ良いのか。弁護士の島田直行氏は「意識を向けるべきことは、いかにしてクレーマーに納得してもらうかではない。電話を切るためには『クレーマーの意見を尊重している』という姿勢を見せることが効果的だ」という――。

※本稿は、島田直行『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

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1人あたりの対応時間を決めておく

クレーマーは、自分の要望が実現しないとわかると、感情的になりがちだ。普段の暮らしのなかで、第三者から何かを感情的に言われることはあまりない。

島田直行『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』(プレジデント社)

しかし、これが電話となると、相手の雰囲気がわからないため、なおさら困惑する。「相手が興奮しているからなんとかしないといけない」と焦るほど、物事は悪い方向に展開していく。むしろ「なるようにしからならない」と腹をくくったほうが意外とうまく回りだす。

電話に限らず、興奮した相手に対して「興奮しないでください。冷静になってください」と言うのは、意味がないだけでなく、むしろ相手をヒートアップさせてしまうことになりかねない最悪の対応だ。「お前の態度が悪いからこうなったのだろう」と詰め寄られるのが関の山だ。

興奮した相手との長時間の電話で疲弊しないためには、社内で対応するべき時間を共有する。こういった時間が決まっていないがゆえに、いつ電話を切るべきかがわからず、いつまでも相手の話をじっと聞くだけになる。

具体的な時間は、各社が自分たちで決めればいい。通常であれば20分もあればひと通りの質問への回答をすることができるだろう。30分も説明すれば十分だ。こういった時間を経過したら、電話を切るようにしなければならない。