クレーマーは、自分の想定通りに物事が展開しないことにかなりいら立っていたようだ。そこで作戦を変更して、間接攻撃に切り替えた。フランチャイズ本部に対し、「○○店の対応は明らかにおかしい。本部としていかなる責任を考えているのか」という苦情を申し入れた。

フランチャイズの本部に、個々の加盟店の事情などわかるはずがない。「顧客」と名乗る者から苦情が入れば、「承知しました。確認したうえで早急に店舗から連絡させていただきます」といった形式的な扱いをすることが多々ある。

本部からは「早急に鎮静化せよ」という曖昧な指示のみが繰り返された。加盟店としては、今後の契約もあるため、本部に対して「そのような対応はおかしい」と声をあげることもできない。結果として本部とクレーマーの板挟みになってしまう。この事案では弁護士名で通知を出して解決した。

第三者への対応でますます疲弊する現場

こういった間接的な追い込みは他にもある。あるサービス業の会社では、加盟する上部団体の協会の窓口に苦情を持ち込まれた。管轄する行政庁に苦情を言われたケースもある。

いずれにしても担当者は、クレーマーのみならず第三者への対応も余儀なくされるために疲労困憊する。「なぜ自分だけ、こんなことをしないといけないのか」という虚無感に襲われることになる。しかも第三者に対しては、事細かな報告書の提出を求められることもある。ただでさえ忙しい担当者は、このような報告書の作成にさらに時間を取られてしまう。

あなたがクレーマーの担当者であったならば、まずどこを攻撃されたら辛いかを考えてみてほしい。「ここから指導が入ったら大変だな」と感じるところである。そこがあなたにとっての弱点であるし、クレーマーに狙われやすいところでもある。それは本部かもしれないし、取引先かもしれない。