「いいね!」のシェアが新しい世代の行動原理
ミレニアル世代やさらに若い「Z世代」と言われる人たちが生まれ育ったのは、巷にモノが溢れ、インターネットが当たり前にある時代です。無数の情報から好きなものを選ぶことができて、仮に身近な友人と話が合わなくても、SNSで簡単に共通の趣味を持った仲間を見つけられる世界。
そこでは「こうしなさい」というトップダウンの権限は機能しません。「いいね!」と思えることを選び、体験し、それを人にシェアする。それが新しい世代の行動原理です。そしてそれは、そっくりそのまま仕事選び、会社選びにも当てはまります。
共感で、動きが変わる。共感が、成果につながる。
現在起こっているのは、情報が新聞からインターネットに変わった、とか、働く場所がオフィスからカフェに変わった、とか、そういう話ではなく、人々の行動原理、すなわちチームの行動原理のパラダイムシフトなのです。
そして、チームの行動原理が変わりはじめているなら、組織のあり方自体も変わりはじめているはずです。
「年功序列」は楽なシステムだった
それは、これまでの組織とは、まるで反対のシステム。
逆に言えば、経営者にとっては、これまでの組織、つまり「年功序列」での支配ほど、楽なシステムはなかったのです。
どんなに仕事を頑張っていようが頑張っていまいが関係ない。毎年、決められた基準に基づいて自動的に給与を上げていく。会社側が、一方的に「お金をこれぐらい払うので、このくらい働いてくださいね」と個人を縛る、という仕組み。
しかも、みんながそれを受け入れていました。
わたしがかつて、サイボウズで成果至上主義を推し進めた理由は、この「年功序列」に対する強烈なカウンターからでしたが、実際にやってみると、「お金で人を縛る」ことは大変なことだらけでした。