ラグビーW杯で4連勝中の日本代表。その日当は約1万円だ。一方、強豪のイングランド代表は1試合当たり2万5000ポンド(約350万円)が支払われているという。金銭的な見返りは望めないにもかかわらず、なぜ日本代表は死力を尽くすのか。著書『国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち』(中央公論新社)』が話題のノンフィクションライター・山川徹氏が解説する――。

日当1万円で240日間の合宿をやってきた

「日本代表は100ドル(約1万円)の日当でやっている」

ラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の発言が注目を集めている。

写真=時事通信フォト
スコットランド戦、途中出場で活躍する日本代表の中島イシレリ(中央右)とバルアサエリ愛(同左)=10月13日、横浜国際総合競技場

10月11日、スコットランド戦を前にした記者会見で、ジョセフHCはこう述べた。

「(3連勝は)まぐれでもなく、ハードワークの成果だ。今年だけでも240日間の合宿をしてきた。ほとんどの選手が所属企業ではプロでやっているが、代表では日当100ドル(約1万円)でやっているのでアマチュアと言える。他のチームと比較して、どのくらい報酬を得ているか調べてほしい」

スコットランドを破って4連勝を果たした日本代表は、ワールドカップ(W杯)で初めてとなるベスト8に進出した。そのプレーは、ラグビーになじみのない人たちも虜にしつつある。だからこそ、世界一を争う代表チームの選手たちが、わずか1万円の日当で戦っている事実に驚く人が多いのだろう。