官僚・弁護士は、和暦思考で動く
グローバルな視点で考えても、年月日は西暦表記がベター。和暦の伝統的価値は認めつつも、ビジネスでは西暦に統一したほうが合理的だ。
しかし、表記を和暦から西暦に変更するのは容易ではない。役所が和暦主義だからだ。
「契約書は弁護士が雛型を作るケースが多い。弁護士は、和暦思考が強い。というのも、裁判の事件番号がすべて和暦だからです。裁判所が西暦を使わないかぎり、弁護士の習慣も変わらず、和暦の契約書が多いままでしょう」(水町氏)
和暦で動くのは、他の公的機関も同じ。役所が関わる書類が和暦だと、民間企業もそれに引きずられやすい。
役所が作成・発行する書類の年月日表記について、法律に定めはない。各種証明書類の書式の多くは、各省庁が省令で自由に決められる。ゆえに西暦でもかまわないが、「官僚は自らたとえば『57年組』(昭和57年に入省)などと称すように、和暦の意識が強い」(同)こともあって、現実には多くの書類が和暦表記だ。
例外もある。外国の入管が見るパスポートは当然、西暦表記だ。ユニークなのは、マイナンバーカード。有効期限は西暦表記だが、生年月日は和暦表記になっている。
「マイナンバーカードは地方公共団体情報システム機構が作成していますが、ここはシステム屋さんが中心の団体。SEの発想なら、西暦表記が自然です。一方、生年月日は住民票から引用しているので和暦表記。ゆえに混在する形になったのでしょう」(同)
同じカード上に年月日表記が2種。まさに現状のいびつさが表れているといえる。