「平成32年」との契約書記載は有効?

今上陛下のご退位で、平成の世も残り4カ月弱。2019年5月1日に改元され、以降は新元号が使われる。新元号の発表は19年4月以降。1カ月以内に新元号に対応しなければいけないとあって、和暦表記のシステムの改修を担うエンジニアたちからは、悲鳴があがっている。

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じつは改元の影響を受けるのはシステムに関わる人たちだけではない。アナログで仕事をしているビジネスパーソンも注意が必要だ。

たとえば契約書の年月日表記。契約期間について「平成32年9月まで」と書かれていた場合、この契約書は有効だろうか。水町雅子弁護士は次のように解説する。

「平成32年は存在しませんが、新元号2年であることは明らかなので、契約書が無効になることはありません。わざわざ書き直して契約をし直す必要もありません」

ならば放っておいていいというものでもない。古い元号を新元号に計算し直すときにミスが発生しかねず、あとで混乱を招くおそれがある。

混乱を防ぐのに一番いいのは、西暦表記にすること。いままでのものを書き直す必要まではないかもしれないが、いまから作成するものに関しては雛型を作り直すなどして対応したいところだ。