金利上昇がもたらす家計への影響
冒頭で、住宅は家計管理・保険・資産運用・税金とあらゆる要素に関わると説明した。
家の予算は「収入」ではなく収入と支出の差額、つまり「貯金額」によって決まる。家計管理ができていないと予算を決めることすらできない。
家を買えば団信に加入するため、生命保険や公的制度と合わせて適正な保障額を考える必要がある。
頭金を払った後に残った貯金をどうすべきか、リスク資産やiDeCoにはどれくらい運用してもよいのか慎重に考える必要もある。
ローンを組めば住宅ローン減税があり、貯金額とのバランスを見ながらiDeCoの掛け金を決めて、当然のことながらふるさと納税やNISA等の活用も考えたい。
これらを考えるのは面倒くさいと感じる人も多いと思うが、家を買う、あるいは借り換えや買い替え等のタイミングで見直しや勉強を一気にしてしまうのがいい。
家計簿をつける……聞いただけでウンザリしてしまう人も少なくないだろう。家計簿をつけることでお金がもらえるわけでもなく、手間ばかりかかって作ったところでそれをどう家計管理に生かせばいいのかわからないからだ。
これを解決するためにマネーフォワードのような家計簿アプリがあるわけだが、これらのアプリを使っても解決できないのが「家計の分析」だ。家計簿アプリでネットバンキングやクレジットカード、電子マネー等の明細を自動で取り込み、現金払いをなくせば「家計簿をつける手間」は極限までゼロに近づけられる。ただし、家計を分析する手間は紙だろうとアプリだろうとなくならない。
家計の分析は企業の決算書分析と同じくらい難しい。正しい家計簿のつけ方・分析の仕方がない以上、合理的な分析方法は決算書の分析を応用すればよい。
このように説明すると難しく感じるかもしれないが、決算書はどんな企業も決まったフォーマットで決算が公表される。そしてその分析方法も決算書をよりシンプルに理解するためにある。難しいものではなく、「難しいものをより簡単に理解する」ためにあるのが決算書とその分析方法だ。家計管理に使わない手はない。