長期金利の上昇が家計に悪影響を及ぼしつつある。住宅の購入は家計管理、保険、資産運用、税金と、あらゆる要素と関わる。金利上昇時の家計を守る新常識は。
あなたは、何もしなくて大丈夫か
2018年7月末、日銀の金融緩和について方針の一部変更が報じられた。国債のマーケットは直ちに反応し、金利がほんのわずかだが跳ね上がった。実際には金融緩和の縮小や終了ではなく、長期金利の目標は0%程度という強い方針により、過剰に金利を抑えつけてきた弊害を減らすため、国債価格の変動、つまり長期金利の上下をある程度許容するという内容だ。0%程度の目標は維持しつつ、プラスマイナス0.2%程度まで金利上昇を認めるという。
金利の変動幅はごくわずかではあったものの、これから家を買う人と変動金利でローンを組んでいる人は一瞬とはいえ肝を冷やしたかもしれない。このようなマクロの話がミクロの家計に与える影響は案外大きい。そして住宅は個人のお金の話を考えるうえで家計管理・保険・資産運用・税金と、あらゆる要素と関わる。
生命保険等の金融商品を売らず、不動産会社のセミナー等も一切やらず、有料相談のみで食っているFP(ファイナンシャルプランナー)として、この金融政策の変化と住宅・家計の関わりについて論じてみたい。
住宅を買う人へのアドバイス
消費税の引き上げ、東京五輪、将来の人口減少など、これから住宅を買う人には気になる話が多数あるだろう。金利に絞って話をすると、特に重要なポイントが固定金利と変動金利、どちらがいいのか? という選択肢だろう。
前述の通り住宅ローン金利はここ2、3カ月、日銀の方針変更で小幅に上昇した。ただしそれは全期間固定など長期金利に連動するもので、変動金利は横ばいのままだ。全期間固定の代表とも言えるフラット35の金利は執筆時点で1.41%となっている(18年10月、融資率9割以下 新機構団信付)。7月、8月の1.34%、9月が1.39%で、やや上昇していることがわかる。