フラット35の金利が最も低かった時期は16年8月の0.9%だが、17年10月からは金利に団体信用生命保険、いわゆる団信の保険料が含まれるように制度が変更された。現在は団信が不要の場合、金利が0.2%引き下げられる。団信の有無も考慮すると、最低水準の時期と比較すれば0.9%と1.21%で0.31%ほどの差がついていることになる。
一方で各金融機関の変動金利は0.5%程度と史上最低のままだ。先ほど説明した金利上昇はあくまでマーケットで決まる長期金利であり、政策金利と連動する変動金利に影響はしない。
筆者が開業した11年初頭の金利は、変動金利は各社揃って0.875%、固定金利はフラット35で2%台半ばと、金利差が2%弱とかなり大きかった。当時のフラット35の団信は金利と別枠で保険料が必要だったが、金利換算で0.3%程度だったため、それも考慮すると変動・固定の金利差は2%近くと現在の2倍以上だった。
4000万円の35年ローンで比較すると、0.875%ならば返済総額が約4645万円、2.8%ならば6279万円と、金利上昇がないと考えれば1634万円も差がついた。したがって当時は変動と固定のどちらを選ぶか? といった話が相談の中でも重要な要素を占めた(各種諸費用や住宅ローン減税等は除いて簡略化した比較)。
一方で現在の変動金利0.5%、固定金利1.41%を使って同じ条件で比較すると、それぞれ約4361万円と約5070万円、その差は709万円と半分以下だ。金融緩和で特に長期金利が大幅に下がったことがわかる。