決算書の分析を家計管理に生かす
マネーフォワードに限らず家計簿アプリも紙の家計簿も、食費や家賃、光熱費など様々な項目に支出が分かれている。これらの細かい分類は、結論を言ってしまえばどうでもいい。経理の処理でも「この支出は雑費と消耗品費のどちらに入れるべきか?」といった細かい話もあるが、重要なことは支出を把握することだ。
そして、企業の利益を計算する損益計算書では、利益を何段階かに分けて数字を出す。売り上げから原価を差し引いた売上高総利益、そこから販売費および一般管理費を差し引くと営業利益……といった具合に通常は5段階に分けて計算する。
なぜならどこでどれくらいの利益が発生しているか、コストがかかっているか、正確に把握する必要があるからだ。家計簿の赤字か黒字かしか考えないやり方とは全く違う。
家計の分析は2段階に分ければ十分だ。それが「生活費」と「お小遣い」となる。お小遣いは「生活費以外の支出すべて」と読み替えてもよい。
生活費は家賃、食費・雑費、光熱費、通信料、保険料、教育費がこれにあたる。これらは極めて削りにくく、支出額が固定・安定している特徴があり、生活費以外の支出がお小遣いになる。
お小遣いの特徴は不安定であることだ。つまり支出の性質によって2つに分けられているということになる。そして収入から支出総額を差し引くと貯金額になる。生活費は「自由に使えないお金」、お小遣いと貯金額は「自由に使えるお金」ともいえる。
生活費は生きていくために必ず必要な支出で、なおかつ削りにくい性質があるため、節約は考えなくてもいい。削る余地があるとしたら過剰に保険に加入している場合やキャリアの携帯を格安携帯に切り替える場合くらいだ。
節約=食費や光熱費を削ること、と思い込んでいる人には奇妙なアドバイスに感じるかもしれないが、食費を1割削る手間とそれで得られる金額を考えると、飲み会を1回やめるだけのほうがよっぽど楽という人も多いだろう。現在の生活費は発生するだけの必然性があり、無理に削ろうとすれば無駄な手間が生じる、と考えて問題はない。
家計の管理はお小遣い、つまり生活費以外の支出に集中させ、その中で「優先順位とメリハリ」を考える。あとはそれぞれの家庭で何が重要かを考えればよい。普段筆者が行う相談でも、食費が多いとか食費は収入の10%に抑えましょうといった下らないアドバイスはまずしない。何が重要で、どこにお金をかけるべきかはそれぞれの家庭で異なり、支出額も支出の配分も自由に決めればいいからだ。