では男優のピラミッドはどうなっているのか。
「こちらは女優より数段複雑になっています。一番下がエキストラ。服も脱がないし、何もしない。お父さん役で説教したり、飲み屋で座っていたりで1日8000円とか。その上が汁男優といって、射精シーンを撮影します。1現場1万円かな。その上は2万男優、3万男優、4万男優、5万男優と上がっていきます。それぞれ、1現場あたりの手取り金額ですね。大ベテランだと最高7万円と聞いたことがありますね」
人気男優になると、1日で3つの現場をハシゴすることもあるという。「AV業界でも東京と大阪があって、大阪はよく知らないですけど、東京のAV男優で5万円もらえる人は30人いないですよ。3万男優でも20~30人とか。1万人いるとも言われるAV女優より圧倒的に少ないですよ」
なかなか難しい道だが……
今回貧困脱出のルートとしてAV業界について調査したが、結論として言えばあまりお勧めではない。何よりも、出演作品というブツが残ってしまうのが痛い。その後の人生を考えたときに、結婚のとき相手の親にどう説明するかや、子供が生まれた際にPTAへ行くときのことを考えると、間違いなくマイナスのほうが大きい。
だが、本当に追い詰められてどうしようもなくなり、単体女優になれる容姿が揃っていて、多少のお金が入ってきても無駄遣いしない場合のみ、考慮の余地はあるといえるだろう。また、AV男優に関しては絶対数が少ないので、むしろこちらのほうが可能性があるとはいえよう。
翻訳家・著述家
英語同時通訳・スペイン語翻訳者。1979年福岡県生まれ岡山市育ち、最下層の貧困母子家庭にて少年時代を送る。高校卒業後、肉体労働で資金をため2000年1月に米国ニューヨーク州立大学ポツダム校に入学。卒業後は様々な職業を経験後、翻訳者として自ら発掘した海外書籍を刊行。訳書に『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)などがある。