【コツ6】中期的に一覧できるスケジュール帳を使う

締切りに追われてばかりでは、本当に重要な案件に時間を使うことができなくなります。また、締切りに間に合わせることが最重要課題となると、締切りに間に合ったことで達成感を得てしまうでしょう。これでは、質の高い仕事を成し遂げるという本当の目的に結びつきません。

締切りが連続し、「仕事の重要度まで考えている時間がない」と反論する人もいると思います。しかし、それはしっかりとスケジュール管理をしたうえでのことでしょうか。たとえば、締切りが迫った時点で、別の日にずらすこともできる面談や会議などの予定を入れてはいませんか? そうなっているのであれば、それはスケジュール管理の失敗です。

私自身の経験からいっても、締切り直前に雑務を入れる失敗は、多くの場合、1週間単位で見開きとなっている旧来型のスケジュール帳を使っていることに起因します。次の週に締切りが迫っているのに、ページをめくらなければそのことに気づかないため、うっかり予定を入れてしまう。こんなことをしていては、締切り直前になって慌てるのも無理はありません。

「『超』整理手帳 2018」の使い方見本

そうしたミスを未然に防ぐことを目的として、私が考案したのが『「超」整理手帳』です。最大の特長は、蛇腹構造になっていて、8週間分のスケジュールが一覧できることです。重要案件の予定や締切りが中期的に一目瞭然なので、スケジューリングのミスを防ぐことができます。上手なスケジュール管理、能動的なタイムマネジメントを実現するためには、「中期的に一覧できるスケジュール帳を使う」ことが重要なのです。

【コツ7】すきま時間を有効活用するために入念な準備

最後に、すきま時間の活用について触れておきましょう。すきま時間の活用については、多くの人がその有効性を指摘しています。私も異論はありません。ただし、すきま時間をいくら活用したところで、それによってできる仕事には限度があります。トルストイは『戦争と平和』をすきま時間で書いたわけではありません。そのために他の用事や仕事を排して、時間を確保して執筆したのです。

私は、すきま時間を活用する必要性を否定しているのではありません。どうしてもすきま時間ができてしまうことは避けられないでしょう。ただし、それを有効活用するためには、「準備をする」ことが必要です。たとえば、スケジュール上、1時間のすきま時間ができることがわかっているなら、そこで行う仕事をするための資料を前日までに用意しておきます。大事なのは入念な準備です。資料を集めてまとめ、その過程で構想を練ります。すきま時間活用のための準備をすることによって、1時間は価値あるものになるのです。こうしたことを実践すれば、たとえば、1時間のすきま時間で、説得力のある企画書を仕上げることも可能でしょう。

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
1940年東京生まれ。1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、 スタンフォード大学客員教授などを経て、 2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。 2011年4月より 早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。一橋大学名誉教授。2017年9月より現職。

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