年中忙しくて、人と知り合う機会が少ないと嘆いているビジネスマンは多い。だが、もし人脈を広げたいと考えているのなら、スケジュールを何とかやり繰りして、人と会うための時間を確保したほうがいい。それを自ら習慣づけているのが、経営コンサルタントの戸塚隆将さんだ。戸塚さんは、ふだん仕事を一緒にしていない人と、週1回は会うように心がけている。
「いつも仕事関係の人とばかり付き合っていると、アイデアが行き詰まってきます。会うのなら、そのときに抱えている案件とはなるべく異業種の人がいい。そうすると視野が広がって、新しい発想が浮かんだりします。財務の問題を考えているときは、公認会計士などのプロよりもマーケティングといった感じです」
そんな戸塚さんが外部の人と会う場合、ランチや飲み会であっても、仕事のアポイントメントと同列と割り切って、2~3週間先でも日時をフィックスし、スケジュールに組み込んでしまう。後で仕事のスケジューリングがあってもブロックして、絶対に予定は動かさない。
「そうしないと、次々に仕事のアポイントメントが割り込んでくるので、いつまで経っても、人と会えません」と戸塚さんは指摘する。また“遊びの時間”の先約があれば、ほかの時間でルーティンの仕事を片付けなければならず、生産性アップという副次的効果も期待できるのだ。この辺がピケティのいう成果の出せる“r型人間”と、そうではない“g型人間”の違いなのだろう。
「ただし、外部の人とのアポは計画的なものではありません。たまたま電話をした人に、ランチや飲み会に行こうと軽く誘う感じです。利害はあまり考えずに、そうした“縁”を活かします。お互いが負担に感じない、肩肘張らない関係のほうが、結局は長続きするようです」