情報システムに蓄積された「ビッグデータ」に代表されるように、世の中には膨大な情報が溢れている。そんな“情報の海”のなかから、ビジネスに有用な情報やデータをどう見つけ出せばいいのか。情報収集のプロの仕事術から、その答えを探ってみよう。

TV局では番組制作に必要な情報を収集・分析し、提供する「リサーチャー」という専門職が確立している。TV局は社会のあらゆる出来事を対象としていて、取り扱うデータ量も桁外れだ。そんな情報の海をうまく渡るための“水先案内人”であるリサーチャーは、まさに情報の「プロ中のプロ」。喜多あおいさんは、そんなリサーチャーの草分けの一人である。

テレビ番組リサーチャー 喜多あおい氏

その喜多さんは、リサーチの基本は情報の「網羅と選択」だと説明する。

「リサーチを始める前に、まず情報の海を見渡します。全体の状況を把握したうえで、どこをどのように調べるのかリサーチ戦略を立て、情報の取捨選択の基準を決めるのです。リサーチの効率を求めて、ストライクの情報をいきなりピンポイントで探そうとしてはいけません。そういう方法を取ると、調査対象外の重要な情報を取りこぼすリスクが高まります」

リサーチ戦略を立てるにしても、正しい方向に進むには、アンテナの感度を研ぎ澄ます必要がある。ビジネスマンにもできる情報感度アップ法として、喜多さんが勧めるのが「デパート巡り」だ。デパートは消費動向の最前線である。喜多さん自身、デパートウオッチングは欠かさない。

「私は、欲しい商品が置いてある売り場だけでなく、最上階からデパ地下まで時間の許す限り、すべてのフロアを見て回ります。長いときは、4~5時間滞在することもありますね。デパート全体を見れば、時代のムード、世の中の風を感じ取れます」