「!」の瞬間は、どんな状況でもっとも生まれやすいのだろうか。身近にある「神様が降りてくる場所」を脳科学者やクリエーターなどに取材した。

脳の注目機能!ディフォルト・モード・ネットワークを使え!

「僕は“館”のなかでいい発想ができます。図書館、美術館、博物館。静かで天井が高いからかな、精神が浄化される感じ」(メーカー・男・35歳)

「河川敷、温泉、海辺、湖畔……。不思議と水の近くだと心が安らいで、行き詰まっていた案件についてパッと思いつくことがあります。最近は、雨音や噴水といった環境的な音楽をずっと流してくれるアプリやサイトがあり、その音を聞きながら仕事すると集中でき、頭も冴え渡ります」(流通・女・32歳)

ビジネスパーソンが生き抜くために必須のスキルのひとつは、新事業・新商品の企画立案力だろう。とはいえ、会社の机の上や会議の席上では、なかなかいいアイデアは生まれにくい。

ウンウン気合を入れてもアイデアの神様は一向に降りてこない気がする。そのことは多くの人が指摘することだが、では、妙案をひねり出すには、どんな場所が最適なのだろう。

冒頭のような意見もあるが、“開発の鉄人”ことシステム・インテグレーション社長・多喜義彦氏は次のように語るのだ。

「“三上(さんじょう)”がアイデアを生むためにふさわしい環境です」

三上とは、今から約1000年前の中国・宋の時代、欧陽脩という学者・政治家があげた「良い考えが出る最適な場所」だ。

まず、「馬上」。今の時代ならドライブをしているときや電車通勤時を指す。次に、「枕上」。これは就寝前、布団のなかでウトウトしている状態。最後は「厠上」。つまり、トイレにいるとき。

これら馬上・枕上・厠上の共通点はその人が「自由な環境」にいるということ。リラックスし、心は解放されている。それこそが、いいアイデアが飛び出る条件となる。納得できる方も多いに違いない。