上司もうなずく、飲みの誘いの「上手な断り方」
となると、結局、部下は自分の生殺与奪の権利を握る上司の誘いを断ることは事実上難しいと考えざるをえなくなるが、化学メーカーの元役員は上司の飲み会の誘いにどう対応すればいいか、こうアドバイスする。
「出世するには社内のつきあいが大事なのは言うまでもありませんが、かといってべったりもいけない。つかず離れずのつきあいが大事であり、酒に誘われたら、これは自分にとって意味があるなと思えば積極的に誘いに乗る。どうもグチを聞かされそうだと思えば適当な口実を作って断ることも大事。戦略的なつきあい方を自分なりに考えることが大事でしょう」
今は少ないかもしれないが、上司の中にはしつこく誘ってくる人もいる。用事があると言っても許してくれそうにない上司もいる。IT企業の副社長はこうアドバイスする。
「私も若い頃に実践していましたが、社外の業界人の勉強会や情報交換会などに積極的に参加していました。社内の人よりそうした人たちと飲んで話をするほうがよっぽど勉強になりました。できれば社外にそういうコミュニティを作ることです。おそらく上司がしつこく誘ってくるのは『こいつは俺と同じ種類の人間だ』という思いがある。そうではなく仕事の軸以外に別のコミュニティを持っていれば『今日は勉強会がありますので』と堂々と言えるはずです」
▼社内に敵を作らない「飲み会のお断り」作法
しつこいが、悪い人ではないからと意味もない飲み会にズルズルとつきあうのは自分にとってはデメリットでしかない。きっぱりと断る必要もあるが、その際に大事なのは相手に対する配慮だ。
中堅電機メーカーの元社長はサラリーマン処世術としてこうアドバイスする。
「一番大事なのは上司、同僚、部下への気遣い、配慮です。しかも敵を作らないように差別なく誰にでも配慮すること。酒席を断る場合も相手の気に障らないような言い方をすることです。どんなに嫌な上司でも1回はつきあう。1対1が嫌なら複数の同僚と飲みに行くことです。宴席では上司ではなく同僚と話をしていればよい。私なんか女の子とばかり話をしていましたよ」
部下である以上、上司を選ぶことができない。かといって嫌われるような言動は慎みたい。飲み会の誘いへの対応も含めて、よりしたたかで慎重な態度が求められているということだろう。