顧客や上司・部下を怒らせてしまった……。大事なのは、汚名返上に向けた初動の対応だ。「雨降って地固まる」ための行動セオリーとは。

職場の飲み会で酔っ払って、大失態。同僚や部下への暴言・過度な説教など、パワハラめいた言動が社内で問題になったら……。労働法務を専門とする弁護士・向井蘭氏は次のように解説する。

「結論から言えば、仮に酒の席の失態をパワハラで訴えられても、裁判ではパワハラの事実が認められるかどうかはわかりません。日常業務中、『バカ』『死ね』などの暴言メールを送ったような場合は名誉毀損や誹謗中傷にあたります。しかし、飲み会の席での暴言の場合、裁判所は真偽不明としてパワハラの事実を認めない可能性があります。例えば、『仕事ができないヤツだ、と厳しく叱られた。たっぷり嫌みを言われた』と部下が上司の心ない言葉で傷ついたと主張しても、その主張が通るかはわからない。訴えた側もアルコールが入っており、その証言や記憶は不確実だととられるからです。周囲の人がその暴言を聞いたとしても、周囲の人もアルコールが入っており、彼らの証言内容を確認すれば、5人いれば5人ともニュアンスが微妙に異なることが多い。そうなると裁判所は上司の発言を指導もしくはコミュニケーションの範疇ととらえる可能性があります。そうなるとパワハラの事実が認められないと判断されるのです」

暴言を言ったかもしれない本人も、記憶が曖昧なら、「よく覚えていない」と言うべきだろう。つまり言った言わないの水掛け論のレベルであれば、どちらが正しいのかがわからなくなり法的責任を問われるようなことは結果としてなくなるというのだ。