グローバルで活躍できる人材の採用を活発化している企業としては、旭化成の例が挙げられる。同社は06年度から「グローバル型事業の拡大」と「国内型事業の高度化」を戦略の柱とし、5年間でM&Aを含めて総額8000億円もの投資を予定する中期経営計画に取り組んできた。

インテリジェンスによると、英語力が求められる職種は、技術から営業、生産管理まで多岐にわたるという。

「ドメスティックな職種だと考えられることも多い経理や法務、人事などの職種でも英語力を求める求人が増えています。本格的にグローバル展開する企業であれば、国際会計基準や海外の法律、外国人の採用やマネジメントが必要になるからです。TOEIC800点以上の英語上級者も増えています」(美濃氏)

語学重視の背景については、(1)部品メーカーをはじめとして海外売上比率が相対的に高くなっている、(2)海外顧客(ビジネス)があり、品質、営業系のニーズが発生している、(3)外資系部品メーカーでは一部社内や海外拠点とのやりとり、会議などで英語が求められている――を挙げた。

食品業界でも「730点以上」

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「語学求人」が多い業界は「サービス」「メーカー」「IT」

アンケート結果からは、IT、メーカーに加えて、食品業界にも顕著な英語志向が見られた。「採用でプラス評価する基準」を「730点以上」とした企業が目立っている。

ハウス食品の広報・IR室の担当者は次のように説明する。

「例えば、消費者のヘルシー志向が強い米国では、当社の豆腐生産がトップで、現地工場から欧州にも輸出している。そこでは原材料の調達先や製品の納入先との交渉のために英語が不可欠になる。英語力を採用の必要条件にはしていないものの、海外市場の開拓は全社的な柱の一つになっており、仕事で使える英語力を持つ即戦力が求められているのは確かだ」