※本稿は、石村友見『Life is Wellness 「健康な生き方」の科学』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
アメリカは23位、イタリアは41位、日本は…
「世界幸福度ランキング」において、フィンランドは2018年~2024年の7年連続1位に輝いた。このランキングの幸福度の評価は、各国・地域の人びとに、
「自分にとって最高の人生を10」
「自分にとって最悪の人生を0」
として、0から10までの11段階で自分の人生を評価してもらった結果だ。言い換えると、「どれだけ自分の人生に満足しているか」の指標になるものだ。
気になる日本の2024年のランキングは51位。前年から4ランク下がっている。ちなみに先進国で見ていくと、イギリスが20位、アメリカが23位、ドイツが24位、フランスが27位、イタリアが41位となっており、日本がいかに低いランクかわかる。
「人生に満足しているかどうか」は、その国の政治、文化、教育、GDPなど様々な要因が関係しているが、私は「つながりの少なさ」が日本人の幸福度を下げている大きな原因だと考えている。
以前、OECD(経済協力開発機構)が「社会的孤立」に関する国際調査をしたことがある。それによると家族以外の友人や知人との交流が「まったくない」、または「ほとんどない」と答えた日本人は15.3%に達している。これはOECDの加盟国で最も高い数字だった。日本人は「孤独」なのだ。
孤独で死亡率が2倍になる
人の寿命を何が決定するかは様々な因子があるが、なかでも「つながり」が大きな要因だという説がある。その説を世界的に有名にしたのが、ハーバード大学のリサ・バークマン博士とレオナード・サイム博士が行った「アラメダ研究」だ。
1965年、カリフォルニア州アラメダ郡で、30歳から69歳までの男女6928人を対象に行われたこの研究では、結婚の有無、親族や友人との付き合い、宗教活動、ボランティア活動などの有無をヒアリングし、9年後に追跡調査を行った。
その結果、社会的に「孤立」している人は、そうでない人に比べて男性で2.3倍、女性で2.8倍も死亡リスクが高いことがわかった。
また、のちにバークマン博士は、「お見舞いに来てくれる人の数」で死亡率が変わるという研究も行った。急性心筋梗塞の患者を対象に、お見舞いに来てくれる人の数と6カ月以内の死亡率の関係を調べたところ、お見舞いに来てくれる人が2人以上いる患者は死亡率が26%だったのに対して、誰もお見舞いに来てくれない患者はなんと約70%が亡くなったのだ。
これは病院の医師や看護師の間では周知の事実だが、もちろんそれが患者に告げられることはない。