「プラスに評価できるTOEICの点数」については、「730~855点」との回答が最も多かった。公開テストの受験者の平均点が500点台とされていることを考えると、要求度は高いといえる。

美濃氏は、最近、中途採用で特に英語力を重視する業種としてITとメーカーを挙げた。楽天のように英語を公用語に決めるほどではないにしても、言語のグローバル化は他企業にも着実に広がっているのだ。

携帯電話などで使うソーシャルゲームを手がけるディー・エヌ・エーはその代表例だ。同社は10年秋にスマートフォン向けソーシャルゲームアプリを開発、販売する米国のngmocoを買収し、一気に英語によるコミュニケーションの必要性が高まった。

「以前は国内向けインターネット事業が中心だったため、語学力は重視していなかった。国内市場は今も伸びているものの、中国を含めて海外市場はそれを上回る成長ぶりを示しており、今後とも有望だ。海外仕様のスマートフォン分野で、当社の培ったノウハウを積極的に売り込む時期に入ったとみている」(同社広報部)

評価軸は「TOEIC」「英語圏での就業経験」「留学経験」の順
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評価軸は「TOEIC」「英語圏での就業経験」「留学経験」の順

2010年6月以降の同社への中途入社者のうち、TOEIC800点以上の取得者は22%。全社員に占める外国人の割合も、10年3月末には2%だったのに対し、11年2月末現在で16%にまで急増している。

「国籍は中国、米国などで、会議を含めてコミュニケーションは英語が軸になった。経営企画部門、経営計画、エンジニア、海外市場向け営業をはじめ、あらゆる職種で英語が必要になっている」(同社広報部)

ソフトバンクの広報室も「特に英語が必要とされる職種を限定していない」としながらも、アップルをはじめとする海外の提携企業との取引、交渉や、日・英語での投資情報(IR)の作成など、社員にとって英語が必要とされる場面が着実に増えているという。