世界で稼ぐ製造業が強い!
企業が英語に堪能な人材に熱い視線を注ぐのは、今後縮小が見込まれる国内市場から打って出て、グローバル市場で勝負せざるをえない現実が背景にあるからだ。グローバルで戦っていくためには、その力を持っている従業員を集めなくてはならない。当然、処遇面でも力を入れているはずである。
では実際に売り上げの多くを海外で得ている企業は、そこで働いている従業員にとっても“勝ち組職場”といえるのだろうか。そのことを確かめるため、有価証券報告書で開示義務がある
「従業員の状況」(従業員数、平均年齢、平均年収ほか)をもとに、会社四季報の海外売上比率データで企業を分類したうえで分析を試みた。海外売上比率をもとに企業を「海外開拓型」「ドメスティック型」に分類し、それぞれの従業員の状況を平均値で算出した。表は、両タイプから、代表的な企業をピックアップしたものである。(※雑誌掲載当時)
まずは海外売上比率の高い企業群を見てみよう。7割超の売り上げを海外で上げている企業群を眺めると、自動車、電機、各種部品と、圧倒的に製造業が占めているのがわかる。
自動車では、日産自動車が76%で売り上げの約4分の3、ホンダに至っては82%と、実に5分の4を海外での売り上げが占める。マツダも73%。リコール問題の後遺症に苦しむトヨタ自動車は、ぎりぎり圏外となる70%ちょうどであった。
ほかにもヤマハ発動機を筆頭に、低価格製品に強みを持つ船井電機、3D機能を持つ新型ゲーム機を発売したばかりの任天堂、東日本大震災の被災地、いわき市に本社を構えるカーナビのアルパインなどが、海外売上比率でいずれも8割を超える。
また完成品メーカーでなくてもTDK、ニコン、シマノ、村田製作所、マブチモーターといったキーデバイスを手がける会社は海外でも強い。世界中の荷主を顧客に持つ商船三井や日本郵船や、世界的なブランドであるソニーが高いのは、いわずもがなだろう。
翻って、海外売上比率が2割に満たない、ドメスティック型企業の顔ぶれをみてみよう。
物流では、小口物流のパイオニアで、断トツの地位を築くヤマトホールディングスは海外売上比率がわずか1%。比較的海外に強いといわれる日本通運でさえ、20%には届かない。