従来から生産拠点の海外移転と海外市場の開拓を熱心に進めてきたメーカーからも、「社員のより一層のグローバル対応が急務になっている」との声が相次いでいる。
海外売上比率を12年度までに25%、17年度までに50%とする目標を掲げるNECは10年11月、「英-1グランプリ」と銘打った英語力向上プログラムを導入した。職場ごとにグループをつくり、社費で英会話などの好きな参考書類を買って定期的に勉強会を開く内容だ。進捗状況を逐一、社内ウェブ上で報告し、優秀なグループは表彰される。
「TOEICの点数などの成果にこだわり、あまり社員間の競争意識を煽るのもよくない。まずは楽しんで、励ましあいながら社内全体の英語力を上げるイベント的な試みだ」(コーポレートコミュニケーション部)としている。参加率は現在、全社員2万4000人のうちすでに20%以上の5000人となっている。来年度中には1万人を突破する勢いだという。
英語人材の採用を加速する旭化成
各メーカーの若手・中堅社員の職場でも、英語に対する熱意は日増しに高まっている。
富士ゼロックスソリューション本部ソリューション開発部の角山正典さんは次のように話す。海外の関連会社が開発したソフトウエア商品の日本市場への導入業務などを担当しているが、海外への留学、駐在経験はない。
「大学卒業後、しばらく積極的に英語に触れることはなかったのですが、最近では英語を使って相手と会話したり、Eメールをやりとりすることが多くなりました。社内の英語研修プログラムを受講する一方で、個人的にも電子ブックで洋書を読むなどして必死に勉強した結果、ようやく海外の開発者との意思疎通がスムーズになってきました」
新興国のライバルとの競争が激化する海外では、なによりも言葉による交渉力がモノを言う。その要は「英語力」にほかならないのだ。