3つのCFから企業の現状と未来が見えてくる

続いて日本経済新聞社の数値を見てみよう。こちらは、営業CFだけでなく、投資CFと財務CFの金額も示している。

[営業CF]266億円
[投資CF]△1566億円
[財務CF]1182億円

 

営業CFは黒字が大前提であるのに対し、投資CFと財務CFは、必ずしも黒字(入金超)である必要はないということ。むしろ、成長企業や優良企業の場合は、出金超を示す「△」が多いものだ。

投資CFの「△」は、設備投資やM&A(企業の買収・合併)へ投じたキャッシュが、子会社の売却などによる入金を上回っているということ。株式の売買をする際には、成長への投資に積極的な企業としてマークするのもいいだろう。反対に、財務改善のためにリストラを実行したりすると、投資CFは入金超になったりするものだ。

財務CFの「△」は、新規の資金調達よりも返済・株式配当が上回っていることを意味する。無借金の企業など、配当金総額と財務CFの「△」金額がほぼ同額だったりする。

さて、日本経済新聞社だが、営業CFと財務CFは入金超、投資CFは出金超だった。これは同社が英国のフィナンシャル・タイムズ・グループを買収したことと密接に関係している。買収に要した金額は、M&A助言会社などへの諸費用を含め総額は1685億円。投資CFの出金超過額1566億円とほぼ一致する。

また、日本経済新聞社の財務CFは、新規の資金調達が返済や配当金支払いを1200億円近く上回っていることを示しているが、買収資金を借入金で賄ったことは明らかである。

入金超なのか出金超なのか――。3つのCFからは企業の現状や将来への取り組みが見えてくるものだ。主要各社の3つのCFを知りたいと思ったら、『図解!業界地図 2017年版』でチェックするのもいいだろう。

(宇佐見利明=撮影)
関連記事
トヨタ自動車がM&A先を選ぶとしたらどこか?
株式投資をする前に「伸びる企業」を見分ける方法
日経新聞のFT買収「自ら報じない不都合な真実」
鈴木敏文・セブン&アイ会長辞任の「本当の理由」
「マネジメント」が習得できるビジネス書9冊