【弘兼】自分の人生を大きく左右する決断ですよね。相当な覚悟が必要だったんじゃないですか。
【新浪】佐治さんの人柄で決めてしまったようなものです。事業の概要や財務の状況、会社の歴史といったことを詳しく知ったのは決めた後です。本来だったら真面目に考えなければいけないんでしょうけど。
【弘兼】サントリーの経営は創業以来、代々創業家が続けてきました。外部から社長を招くのは初めてです。
【新浪】何人かを連れてくればまた別の話だったと思いますが、1人で来たので、いま考えると「よくそんなことをしたな」と思いますね。
【弘兼】単身で乗り込んだわけですね。
【新浪】「真面目に考えて」というよりも「何とかなるさ」と思ったんでしょうね。佐治さんも後押ししてくれるのだから、とにかくやってみようと。僕、変な性格なんですね。振り返ってみると、「よくそんなことやったな」ということがある。前のめりになると、深く考えずに、「まあ、いいか」となっちゃう。
【弘兼】すべてを整えてからスタートするのではなく、スタートしてから「走りながら考える」というやり方ですね。新浪さんは後者のタイプ。
【新浪】佐治会長との二人三脚なら何とかなると考えていましたね。それに弘兼先生は「ザ・プレミアム・モルツ(プレモル)」が大好きですよね。後から気付いたのですが、他社に行かなくてよかったです(笑)。