新商品で上位2社への宣戦布告!?

サントリービールは9月日8日、1986年から販売してきたビール「モルツ」の後継商品「ザ・モルツ」を発売した。国内ビール市場で各社が主戦場に据える「スタンダード・ビール」と呼ばれる中級品の新商品であり、ほぼ30年ぶりの全面刷新は同社の並々ならぬ意気込みを感じさせる。これは同時に、アサヒビール、キリンビールの上位2社に対する宣戦布告でもある。

スタンダード・ビールのジャンルは、アサヒの主力商品でシェアトップを独走する「スーパードライ」、キリンの「一番搾り」「ラガー」、さらにサッポロビールの「黒ラベル」がひしめき合う激戦区だ。サントリーは高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」が好調で、ビール類全体で第3位に浮上した。

しかし、ビール類総市場で4割を占めるスタンダード・ビールにおいてはサッポロの後塵を拝し、シェア11%の4位に甘んじており、新商品投入により、上位3社に挑戦状をたたきつけた格好だ。それを裏付けるように、ザ・モルツの投入と同時に放映開始したテレビCMが極めて挑戦的と取り沙汰され、話題をさらっている。

このCMは、ダンスユニット「EXILE TRAIBE」を起用し、カウンターバーでの「ドライに生きてて楽しい?」との会話の後に、「ドライに生きて、楽しいか。」との文字が大きく表れる。これは、スーパードライに喧嘩を売ったとの評が専らだ。ザ・モルツがコクやうまみにこだわり、辛口でキレを重視するスーパードライを完全に意識した点でも、それがうかがわれる。

しかし、それだけにとどまらない。ザ・モルツの商品パッケージに表示された「100%ビール」の文字は、キリンが100%麦芽への転換により、トップ独走のスーパードライの切り崩しにかかった一番搾りに対しても対抗心をむき出しにしたとの受け止め方も可能となる。