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海外ブランドの買収には積極的

【弘兼】たとえばどんな違いですか?

【新浪】会議で、ビーム社側から「××をやりたい」という提案がありました。すると日本のメンバーが黙っているので、「みんな賛成している」と思ってしまう。アメリカでは反対意見があれば、手を挙げて「絶対反対!」と言いますから。帰国して「日本側の賛成を得られた」と報告したのに、3カ月後に「あれは反対だ」と突き返されてしまう――。

【弘兼】海外では会議で発言しなければ、欠席と同じだといいますよね。

【新浪】彼我の差がすごくあるわけなんです。またアメリカでは1対1の面接でミッションを決めて、それだけをしっかりやる。そういう働き方が普通です。一方、日本では周りに気を使って、後輩の面倒を見て、チームワークで仕事をする。だから物事の決め方や進め方が全然違う。

【弘兼】日本企業に共通する悩みです。

【新浪】ここで思ったのは「急がば回れ」。慌てて進めればハレーションが起きて、ダメになってしまう。感覚的にそう思ったんですね。

どちらも自分たちのやり方がいいと思っているので、お互いのよさを学べばいい。ビーム社は、事業の選択と集中が上手い。マーケティングや収益力を強化する方法論を持っています。これに対してサントリーには「ものづくり」の強みがあります。日本のものづくりの技術力は高い。会社へのロイヤルティの高さが、その裏付けです。お互いの違いがわからなければ、彼我の差も埋められません。いま人事の相互交流を活発にやっているところです。