大先輩からの助言「銀座の夜店の花になるな」
――金川社長の原点とは何でしょうか。
私がまだ極東物産(現・三井物産)で鉄鋼原料を担当していたときのことです。富士製鉄(現・新日本製鉄)に営業をかけるため、旧制第六高等学校の先輩だった永野重雄社長(当時)を訪ねました。私が、「先輩のような大実業家になるにはどうすればいいでしょうか」と聞くと、永野さんは「へえ」と笑みを浮かべながら、「それは銀座の夜店の花にならんことだな」とおっしゃいました。
おそらく「格好はいいが、根がない」ということです。営業も同じ。太鼓持ちで自分を殺しても、根にある信念を忘れてはいけません。だから相手を立てるときにも決して嘘はつかないのです。