トップダウンの代表例は、店内で調理し、出来立てを提供しようという「まちかど厨房」。副社長で、国内コンビニ事業の最高責任者だった2011年夏、東京・千駄木の店で始めた。店内調理は、04年に札幌で実験を始めた「できたて弁当」が発端。いくつか実験的な試みを経ながら、全国で40店が取り組むまでになった。だが、いずれの実験も、注文を得てからつくる「注文方式」だった。
もっと作業が簡単で、コストもかからず、全国の店で展開できるやり方はないか。お客が待つことなく買える仕組みにできないか。
最高責任者の指示が伝えられ、チームが動き出す。まず千駄木の店で、新調した厨房で仕上げた弁当と具を挟んだ調理パンを売る。
いまでは、約3000店に厨房が備えられ、この「つくり置き方式」が展開されている。メニューは、調理パンに弁当やおにぎりを組み合わせるか、各店のオーナーがお客の嗜好を考えて選ぶ。ここでも「玉塚さんが『やろうよ』と言うから、『よし』と思う」という面々が、続いてくれた。
「景従雲集」「景のごとく従い、雲のごとく集まる」――人々が心服して、どんどん集まってくるとの意味で、中国の古典『長生殿』にある言葉。何事にも真摯に向き合い、部下とともに歩む指導者には、ついてくる人々が続く、と説く。基本を守り、チームワークを大切にして、同調者を得ていく玉塚流は、この教えと重なる。