日本経済は消費税増税の逆風を乗り切り、株価は再び上昇局面に入ったようだ。2020年の東京オリンピックを控え、各社、攻めの経営が目立つ。少子高齢社会のなかで、企業はどこへ向かうのか。新たに経営トップの座についた人物を解剖し、未来への展望を開く。

「地域の健康一番店」を日本全国に

各社の特色が鮮明になってきたコンビニ業界。ローソンは共通ポイントサービス「Ponta」のビッグデータを活かしたCRMを進める一方、原材料や製法にこだわる小商圏型製造小売業の色合いを強めている。新浪剛史前社長からバトンを渡された玉塚社長はどう舵を取るか。

ローソン代表取締役社長
玉塚元一氏
――製造現場をはじめとして仕事の経験は幅広いが、影響は。

【玉塚】最初に就職したのは旭硝子で、千葉県の工場に配属。現場の年配の方たちに可愛がられ、生産や物流管理を学んだ。社会人のスタートが工場勤務だったのは幸運だったと思う。厳しい品質管理やコスト競争力を学べたうえに、現場で頑張る人たちに会社は支えられていると実感できたのが大きい。現在なら国内外に12000以上ある店舗を支える加盟店の方々の頑張りが全てだと痛感する。27歳から4年間はシンガポールに駐在し、工場建設や物流センターの買収なども経験し、ここでビジネスの面白さを知った。MBAを取得し、日本IBMに転職してコンサルタントになった。このとき顧客だったのがファーストリテイリング。柳井正会長兼社長に出会い、この人から学びたいと転職した。ここで知ったのは、商売を成功させるには共通の原理原則があるということ。例えば、明確なビジョンがあるか、経営理念が全社で共有されているか、スピード感をもってPDCAサイクルがまわせているか。その原理原則を叩き込まれ、大きな財産となった。