KDDIがローソンへのTOB(株式公開買い付け)を発表した。実現すれば、従来の筆頭株主である三菱商事とKDDIが50%ずつ株式を保有し、共同経営することになる。流通アナリストの中井彰人さんは「三菱商事とKDDIというビッグプレイヤーが、ローソンをかすがいとしてPonta同盟を組んだ絵図だ。ローソンの運命はPonta経済圏の盛衰に大きく左右される」という――。
3番手が定位置になっていたローソン
先月、KDDIが、ローソン、三菱商事との資本業務提携契約を発表した。「リアル×デジタル×グリーン」を融合させた新たな生活者価値創出に向けたものだ。従来の筆頭株主、三菱商事とKDDIが50%ずつ株式を保有する株主となり、ローソンは非公開化されるという。記者会見では、三菱商事がローソンに対する追加的サポートについて悩んでいたこと、三菱商事からKDDIにこの提携を持ち掛けたことも、明らかにされていた。その悩みとは、ローソンがコンビニ大手3社の一角を占めるとは言え、3番手が定位置となり、なかなか逆転の戦略が描けなかった、ということである。コンビニ業界の現状とローソンの位置付けをみると、そんな悩みの背景が見えてくる。
M&Aを使った規模拡大の手法はもう使えない
国内コンビニ業界の市場規模は、2022年で11兆1700億円強(日本フランチャイズチェーン協会コンビニ統計)というデータがあり、セブン‐イレブン(以下、セブン)、ファミリーマート(以下、ファミマ)、ローソンの大手3社合計のシェアで93%超に達している寡占市場となっている。
なかでも、ご存知の通り、セブンが圧倒的な存在感を持ち、フランチャイズ加盟店売上と直営を併せたチェーン総売上は5.1兆円強と、ファミマ3兆円弱、ローソン2.3兆円弱のはるか上をいく。時系列で売上の推移をみても、セブンがファミマ、ローソンをさらに引き離しつつある様子がわかる。これまでもセブンが出店によって着実に成長を続けてきたのに対して、ファミマはam/pm、サークルKサンクス等、ローソンがスリーエフ、ポプラといった同業他社のM&Aも併用しながら、規模拡大を進めてきたのだが、3社寡占が進んだ今、この手はもう使えない(図表1)。