「ポイント経済圏」の勝者を目指す

こうしてみてくると、ローソンと親会社三菱商事が、コンビニ業界に、携帯キャリアKDDI(以下、au)を味方に引き込んだ理由も見えてくるだろう。コンビニ業界において、2位以下がセブンを追いかけるためには「異次元」の戦略が必要だ、ということであり、ざっくり言うなら、リアル世界だけでは勝ち目がないので、デジタル世界の雄の力を借りて、一気に逆転しようという同盟である、とみるのがわかりやすいだろう。

3社による記者会見では、リアル、DX、グリーンという3つの視点からシナジーが説明された。リアルは、auの持つ通信、金融、ヘルスケアの窓口としての連携、グリーンはコンビニの発電拠点、EV充電スポット、防災備蓄機能の強化、といったことが挙げられているが、やはりメインはDXということになる。店舗を仮想空間と融合するXR(VR、AR、MR等の概念を包含)、ロボティクスによる配送、店舗のDX化(接客、運営、省人化……)など、店舗ハード面での技術革新の導入はある意味わかりやすい。

そして、最大のポイントとしては、1日あたり来店客数1000万人というローソンの購買データ、契約者3100万人のau経済圏を統合することによって「ポイント経済圏」の勝者となる、ということであろう。

関西国際空港のローソン店舗
写真=iStock.com/winhorse
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最も利用されているのは「楽天ポイント」

ポイント経済圏とは、デジタルプラットフォーマーが運営している様々なサービスを同一アカウント、共通決済方法で利用することを一つの経済圏とみなす、というもので、国内では楽天やドコモ、au、ソフトバンクといった携帯キャリアが、そのIDを軸として構築、拡大しようとしている。

MMD研究所が行った「2024年1月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」によれば、最も利用しているポイントのランキングは1位楽天ポイント、2位dポイント、3位PayPayポイント、4位Pontaポイント、5位Tポイント、6位WAON POINT……となっている。また、最も意識しているポイント経済圏では、1位楽天が45.7%と圧倒的で、2位PayPay18.1%、3位ドコモ16.3%、auは8%で4位となっている(参照:MMD研究所「2024年1月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」より)