究極のグラウンド「コンビニ」へ転身
2005年9月、米国留学以来の夢だった起業を実現した。43歳。ひと月ほど前に、ユニクロなどを持つファーストリテイリングの社長を退任し、「経営者としてもっと成長するには、自分自身でリスクをとって事業をやる必要がある」と思った結果だ。
知人と共同で代表取締役となって設立したリヴァンプは、経営課題の克服に苦しむ企業から事業の再生や経営支援を請け負い、人材を送り込み、ときに出資もする。コンサルタントにとどまらず、企業の経営そのものに寄り添う新タイプの会社。リヴァンプは、「刷新」などの意味を持つ英語だ。
6人で東京・外苑前にオフィスを構え、共同代表2人と縁がある小売業や外食産業などから仕事を得た。縁や人脈は、事業家にとってかけがえのない財産。留学で学んだ経営論とユニクロでの経営体験を生かし、成果を上げていく。
1年が過ぎたころ、ベンチャーキャピタルから、富士山麓の天然水を全国の住宅や事務所へ宅配する事業案がきた。部下が「来るものは拒まずで、何でも引き受けてしまう」と笑ったが、出資した。どんな目標とも向き合って、チームのみんなで、どうすればいいかを考えて、突き進む。十代前半で始めたラグビーで身についた手法だ。新会社は、安心・安全や美味しさなど「水へのこだわり」が高まる時流に合致し、株式を上場、年商100億円規模となった。
起業の際に共同代表になった知人は、大学を出て就職した旭硝子で、化学品の営業をしていたときに縁ができた元商社マン。5歳年上で、複数の企業で勤めた後、海外資金を預かって運用するファンドを動かしていたが、出資者のために高利回りを目指す仕事に飽き足らず、新たな挑戦を考えていたとき、自分と思いが重なった。