「熟年離婚」が増えている。厚生労働省の「人口動態統計」によると、同居期間別の離婚件数では、20年以上の熟年離婚が「5年未満」に次ぐ2位だった。離婚カウンセラーの岡野あつこさんは「女性が経済的に自立したことで、離婚を恐れなくなった。ただ、原因はそれだけではない」という――。

「熟年離婚」の割合が過去最高

2022年に離婚した夫婦のうち、「熟年離婚」の割合が23.5%と過去最高だったことが話題になっています。

厚労省が発表した「人口動態統計」によると、2022年の離婚件数は17万9099組。(同居期間不明の1万2894組を含む)。この中で同居期間が20年以上の「熟年離婚」は3万8991組に上ります。

「熟年離婚」の割合が過去最高
写真=iStock.com/yuruphoto
「熟年離婚」の割合が過去最高(※写真はイメージです)

同居期間別で離婚数が最多だったのは、「同居期間5年未満」で5万2608組でしたがが、同居期間20年以上の「熟年離婚」はそれに次ぐ数だったのです。

この問題については朝日新聞が8月13日に報じて以来、多数のメディアが報じています。私もメディアの取材を受けることが増え、8月27日にはテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」にも出演し、今なぜ熟年離婚が増えているのかを私なりに解説しました。

コロナ禍で夫婦の危機を迎えた

なぜ今「熟年離婚」が増えているのでしょうか。

まず大前提として、コロナ禍以降、離婚を考える熟年夫婦が増えていることが挙げられます。

外出自粛やリモートワークの普及で自宅にいる時間が長くなったことで、夫婦が顔を突き合わせる時間が増えました。

仲のいい夫婦ならむしろ好都合だったのでしょうが、ギスギスしている夫婦にとって、コロナ禍で夫婦の時間が長くなったことは、むしろ夫婦関係をいちから考え直すきっかけになったのです。

「仕事が忙しい」とか、「出張だ」といって愛人に会いにいくこともできず、「ならいっそのこと離婚してしまおうか」と考える人もいたようです。