源流はラグビー 練習で気を失う
その源流は、ラグビーにある。中学時代に始め、慶大4年のときには全国大学選手権で準優勝もした。最前線で相手と肉弾戦を重ねるフォワード第3列のフランカーを務め、スクラムから敵にボールが出たら、すぐにタックルして前進を止める。自軍のボールなら、ときには持ってスクラムサイドを抜け、もみ合いになれば下敷きとなってボールを守る。常にボールのそばにいて、基本的なプレーを重ね、走り続けるから、チームの中でも運動量がとくに多い。
そんな役割が、自分の性格に向いていた。でも、練習はきつい。合宿で、何度も気を失った。それでも「もうやりたくない」と思うほど重ね、最後に「やれば、自分たちにもできる」との自信につなげた。そのなかで、各自の課題を話し合い、克服するための練習を続け、試合に臨むときには勝つための戦術と意志の統一を図る。そんなチームとしての一体感の大切さを、叩き込まれた。失敗から学ぶことも、決断のスピードが大事なことも、教えてくれた。
何年も前から、「小売業では、いいチームづくりが成功のカギ」と繰り返してきたのには、そんな体験がある。チームにはスターは不要と説き、全員を「仲間」と呼ぶ。ラグビー部で伝承されていた「花になるより、根となれ」が口癖なのも、同じだ。