「五輪招致」が拓く日本の2つの活路
元気が大切なのは、日本の景気も同じでしょう。もっとパワーを漲らせなければいけません。消費環境は依然として厳しい。しかし何かパッと明るいニュースがあれば劇的に変化するはずです。そのためのイベントとして、私は「東京オリンピック・パラリンピック」の開催がベストではないかと思っています。
五輪誘致には、「いまさらまた日本で五輪か」とか「もう発展途上国ではないのだから、五輪があっても経済効果は薄い」といった声も聞きました。しかし、違うのです。ポイントは2つ。1つには若い世代のため、2つめにはソフトの遺産を残すためです。
いま高齢世代は比較的元気です。それは政治を動かすのも、経済的利益を享受するのも高齢世代だからです。一方で、若年世代の元気が失われているように感じます。それは日本の将来への道筋が示されていないからでしょう。
日本の未来を考えれば、40代以下の人たちの元気が失われたままでは、困ります。若年世代が将来に希望を見出すうえで、具体的に手の届くところにあり、「これだ!」と思えるもの。そのひとつが、五輪開催だと思います。
いまの若年世代は、ほかの世代に比べて社会的貢献への意識が特徴的に強いのではないでしょうか。東日本大震災では、ローソンとしてもさまざまな復興支援に携わりましたが、その際、若い人を中心としたボランティア活動に触れ、大変な刺激を受けました。「世の中の役に立ちたい」という気持ちの若者が、日本にはたくさんいます。優しさや助け合いの精神を持ちながら、それを生かす場がないと感じている若者がいるのです。
だから、たとえばオリンピックだけではなく、続いて開催されるパラリンピックに、若いボランティアの力を大胆に導入する。その姿は、日本人の特性を、あらためて世界にアピールすることになるはずです。出場選手から企業やNPO、ボランティアまで、あらゆる形で日本の力が結集するステージとして、東京五輪には大きな可能性があると思います。