自律神経を強くするには、食事は何に気を付ければいいか。京都大学名誉教授の森谷敏夫さんは「早食いやながら食いをやめ、よく噛んで、ゆっくりと食べること。そして自律神経を強くする食べ物、飲み物を積極的に取り入れることだ」という――。

※本稿は、森谷敏夫『京大式 脂肪燃焼メソッド』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

食料品店でボトル入り飲料水を買う男
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1日3回の食事で、ひと口30~40回噛む

「食」という字は、「人」を「良」くすると書き、食事の「事」は「行事」からきていると考えることもできます。

人を良くする行事にふさわしく、食べていることを意識しながら、ひと口ずつ味わって、よく噛み、ていねいに食べることが、自律神経の満腹中枢をしっかりと働かせ、食べすぎを防ぎます。さらに交感神経の鍛錬にもつながるのです。

噛むことは、食事において交感神経をもっとも鍛える行為といえます。噛むことの刺激が口だけでなく、口と大きく影響し合う耳から伝わることもあり、交感神経が強く刺激されるのです。

交感神経が活性化されれば、満腹感が早く訪れますし、また、多く噛めばそれだけ食べるのに時間がかかりますので、「早食い」を防ぐことにもなります。

ひと口で30~40回を目安に、噛むようにしましょう。1回1回噛むたびに、交感神経が刺激され、さらに食べている間中、このことがくりかえされます。

はじめのうちは、ひと口10回くらいから始めて、徐々に回数を増やしていくとよいかもしれません。最初は面倒に感じるかもしれませんが、そのうち慣れてきて、意識しなくても30~40回噛むようになっていることでしょう。

1日3回の食事で、ひと口30~40回噛むようにすれば、間違いなく交感神経は鍛えられていきます。

また、食事で満腹感が得られるのは、血糖値が上がることによります。

食べものが消化吸収されて血糖値が上がり、その信号が満腹中枢に届くまでには、15~20分間かかるのです。15分もしないで食べてしまう早食いの人では、血糖値が十分に上がって満腹中枢に信号が届くよりも前に、食べすぎてしまいがち。

早食いの習慣がある人は、食事のたびに過食となり、太りやすくなるので注意が必要です。