幅広い栄養素を網羅する飲み物とは?

牛乳は日本人が古くから親しむ飲みものだが、常に有害説がつきまとう。先日、プレジデントオンラインでも牛乳批判の記事を見かけた。しかもその記事は一時期、アクセスランキング1位に輝いていたのだ。

スーパーで牛乳を手に取る女性
写真=iStock.com/Hakase_
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私は食べものの取材執筆をよくするのだが、何かの食品を攻撃する記事を書くのは実は簡単なのだ。たったひとつの論文を根拠にして、デメリットを述べればいいからだ。

それよりデメリットをふまえても「この食品は良い」と書くほうが、ハードルが高い。どれだけ多くのメリットを述べても、たったひとつのデメリットにかき消されてしまう。記事としても広まりにくい。それでもあえて「一日一杯の牛乳には、これほどの健康効果がある」と、書きたい。

何といっても一番の魅力は、人工的なものではなく自然が生み出した食品でありつつ、幅広い栄養素が含まれていることだ。

実は「コスパ&タイパ」が最高の食品

料理家で管理栄養士の小山浩子氏は「牛乳はコストが低く、栄養密度が高い食品」と強調する。

「密度というのは、100カロリーベースでそこから取れる栄養素という意味合いです。例えば油ならほとんどエネルギー(脂質)しかありませんし、肉では質のいいタンパク質を取れますが、量が増えると脂質摂取も同様に多くなってしまいます。100円で買える栄養素の量は、牛乳がダントツで幅広いのです」

牛乳には肉と同じように必須アミノ酸のバランスが良いタンパク質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、カリウムなどが含まれる。

「加えて未調理でおいしくいただけますから、コスパ&タイパ(タイムパフォーマンス)が最高の食品といえます」(小山氏)

牛乳は体内への吸収がゆるやかで食後に血糖値を急激に上昇させない(低GI)食品。腸での糖の吸収が速い白米や菓子パンなどの高GI食品よりも、低GI食品を選んだほうが糖尿病発症リスクが低下する。また尿酸の排出を促して尿酸値を下げ、高尿酸血症などの生活習慣病予防になることが知られている。