「東洋医学はなぜ効くのか」

暑さでバテ気味になったら、どうしているだろうか。

漢方薬の素材
写真=iStock.com/SB
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私は対策として食事ではタンパク質と抗酸化物質を積極的に取り、日中に座ったままでいない、体を動かすことを意識している。が、それでも何となくの不調を感じるとき――漢方薬(補中益気湯ほちゅうえっきとう)を服用する。のどが痛いなど明らかに不調があるときは麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとうだ。そうすると寝つきが良く、翌日には復活して元気にがんばれる。コロナ禍で病棟に密着取材する際にも、体調を整えるためにこれらの漢方薬にずいぶんとお世話になった。

「私は出張先で疲労を感じ、しかも冷房の効いたホテルの部屋で休む際、『このまま寝ると風邪をひきそうだ』というときに補中益気湯を服用します。ぐっすり眠れて翌朝に良い目覚めなんですよ」

と、島根大学医学部附属病院の大野智教授も言う。大野教授は、『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社)の著者のひとり。同書は増刷を重ね、ベストセラーといっていい売れ行きだ。

島根大学医学部附属病院の大野智教授
写真提供=大野智教授
島根大学医学部附属病院の大野智教授

「西洋医学の手法」でも効果が認められた

私は1年前、読売新聞で同書の書評を読み、当時から大野教授に取材をしたいと考えてきた。書評は<東洋医学を西洋医学の手法で分析し、その効果が認められつつあることに言及している>と結ばれている。なんて面白い試みの本だろう、と感じた。今年は6月から暑い日が続き、体調を崩しやすくバテやすい。今こそ、西洋医学の手法でも効果が認められた漢方薬を使ってみるのもいいのではないかと考えたのだ。

そして同書を読んでみたのだが、非常に難解な内容で……。正直に「本の内容が難しく、私の頭では理解ができなかった」と伝えながら大野教授に取材を申し込むと、「本の第1章~第3章のメカニズムは、医学部を卒業した私でも難しいです(笑)。取材でわかりやすくお話しできればと思います」という温かな返信があり、先日対面で取材を行ったのである。