この15年で「どう効くのか」がわかってきた

前編からつづく)

舌を出した女性
写真=iStock.com/Deagreez
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今津医師によると「今からおよそ25年前、2001年に医学部の医学教育モデル・コア・カリキュラムに『和漢薬を概説できる』と記載された」という。

「それ以降、薬学部、看護学部、歯学部でもカリキュラムの中で『漢方薬を勉強しましょう』という姿勢がとられるようになりました。明治時代から始まった西洋医学中心の医学に足りない面がある、だから治療の中で漢方薬も使っていかなければいけないと、この20年で国が見直し始めたということです。そしてやっとこの15年で漢方薬がどう効くのかが、わかってきました。科学の進歩によって、漢方薬に使われているひとつひとつの薬草(生薬)の薬理作用が解明され、漢方薬を服用すると、どのように血液中に分解され、吸収され、効果が出るのかといった体内での代謝(漢方薬がどんな形に分解されて、どの遺伝子に作用するのか)が明らかになってきたのです」

逆に考えると、それまでは「漢方薬がどうして効くのか」がわからなかった。だから東洋医学的な見立て、「証」に頼った処方が主流になり、「漢方薬はよくわからない」と敬遠される面もあった。

「漢方薬の研究報告はものすごくたくさんありますが、中には眉唾のようなデータも紛れていました。しかし、ここ15年のデータは英語の論文になったものも多く、誰が読んでも納得できる研究報告が増えてきています」(今津医師、以下同)

「芝大門 いまづクリニック」の今津嘉宏医師
筆者撮影
「芝大門 いまづクリニック」の今津嘉宏医師

薬理効果が証明されている漢方薬

だが最近わかるようになってきたからこそ、はるか前に医師になった人は漢方医学が科学的に証明されていることを知らない可能性もあり、また若い医師でも十分に漢方薬の薬理効果を勉強している人が少ないのが現状という。

「どういう作用を持っていて、どのような病態で使うと、どう働くかを知らないから、適切に処方できない。そのために実際の現場では漢方薬が効いたり効かなかったりという結果を招いてしまうことが少なくありません。大野教授が話すように漢方薬のすべてがわかっているわけではありません。けれども現代医学で解明され、薬理効果が証明されている漢方薬を正しく使うだけでも、患者さんは理解しやすいし、早く良くなります」

漢方医学の薬理効果と病態生理(人が病気になったとき、異常を起こしている原因は何なのか)を理解し、漢方的な診断の治療を選択する、その裏付けとして西洋医学的診断を合わせてマッチすれば正しい形になる、と今津医師は考える。診断、治療、処方の選択肢のひとつに、漢方医学があるイメージだ。