他者から怒りをぶつけられたとき、こちらもついカッとなってしまうのが人間です。しかし、怒りをぶつけ返すことは悪手です。「銀のさら」江見社長は「目には愛を、歯にも愛を」と、器を広げることに重要性を説きます。どのようにして、人間の器を広げることができるのか——。明日から実践できる方法を教えます。(2023年10月30日レター)

経営者やある程度の役職以上の人は、上司から怒られるといったケースは少ないでしょう。しかし、お客さんに怒られたり、取引先と揉めて理不尽な言葉をぶつけられたりしたら、「さすがに納得できない」と怒りがこみ上げても無理はありません。私自身、いくら「怒らない経営」を標榜しているからといって、一方的に不条理なことばかり言われたら、いい気持ちはしません。誰だって頬を叩かれれば痛いのです。

怒りの衝動が起きたら、ふつうはすぐに反応してしまいます。自分の発言に自分で興奮して、なんだか火に油を注いだようになる。まずは10秒待つ。怒りの衝動が薄まります。14~15秒でだいたい最初の怒りが半減するそうです。ですから、黙っているのは苦痛だけれども、ちょっと深呼吸をして、「1、2」と心のなかで15まで数える。15までいけば、事態が悪くなることはないと断言できます。

(構成=長山清子)