人間の集中力は、そんなに続くものではないことは、誰でも身に覚えがあるのではないでしょうか。その集中力を持続可能に保ち、最大限に生産性と効率性を引き出せる手法に、「ポモドーロ・テクニック」があります。ポモドーロはイタリア語でトマトのこと。どんな技術なのでしょうか。

最も集中力を発揮しやすい時間帯

「深夜の作業中にビルが端末の前でうたた寝しているのをよく見た。コードを打ち込んでいる最中に、徐々に身体が前方に傾いていき、ついには、鼻がキーボードに当たってしまう。そのまま1、2時間眠ったあと目を覚まし、薄目でスクリーンを見て2度ほどまばたきをすると、すぐに何事もなかったように作業を続行する。本当に信じがたいほどの集中力である」

ここに登場する「ビル」は、米国マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏のことです。まだ創業から間もない頃、「ALTAIR BASIC」のプログラムを開発していたときのエピソードを、共同創業者のポール・アレン氏が自著『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢』の中で紹介していました。偉大なる起業家は、並みの人間では推し量れないような、高い集中力を持ち合わせているようです。だからこそ「マイクロソフト帝国」を築き上げられたのでしょう。

(構成=伊藤博之 撮影=柳井一隆 図版作成=大橋昭一)