「パワハラ」と言われるのが怖くて、むやみに注意もできないと、日頃からビクビクしている上司からすれば、部下はちっとも言うことを聞いてくれない……。そんな悩める上司が心を鎮めて、部下をうまく動かすにはどうしたらよいか。脳科学がアプローチします。

優秀な上司であるほど悩みが深い

「部下が自分の言うことをどうしても聞いてくれない」「事前に示していた方針通りに動いてくれない」──。自分の部下に対して、このような悩みを抱えている上司がいらっしゃるのではないでしょうか。

部下だった時代に上司の言うことをよく聞き、その指示に従って成果をあげてきたらからこそ、いまの自分がいる。上司が言うことの1を聞けば、10理解することができる。それが優秀な社員だという環境で育ってきた。それなのに、いまの自分の部下は……。優秀な上司であればあるほど、目の前の部下と過去の自分を比較して、悩みを深めてしまう傾向が強いようです。そして、次第にイラついた気持ちが周囲に伝わり、職場全体の雰囲気が悪くなってしまうのです。

(構成=伊藤博之 撮影=柳井一隆 図版作成=大橋昭一)