「心理的安全性」とは、職場の仲間がお互いに信頼・尊敬し合い、安心して率直に話ができる状態を示します。心理的安全性のある職場は、業績の向上にもつながると見られています。まさに、理想的な職場ですが、実現するのは、簡単なことではなさそうです。ここでは職場の心理的安全性が業績アップにつながるメカニズムを詳しく見ていきます。
「人は見た目が9割」は本当か
『人は見た目が9割』──。以前、かなり話題になった書籍のタイトルです。実際に言葉を口に出す「言語コミュニケーション」で伝えた自分の意思よりも、表情や仕草、声色といった「非言語コミュニケーション」で伝わった気持ちや感情のほうが相手の印象に残る、というのが主旨でした。確かに、私たちは日頃のコミュニケーションの中で、非言語の部分から相手の気持ちを汲み取ろうとしています。でも、それが全体の9割を占めると指摘されると意外性があり、そのため、多くの人が書籍を手に取ったのでしょう。
そうした「非言語コミュニケーションが大切である」という主張の根拠の1つになっているのが、1971年に米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学者だったアルバート・メラビアンが発表した「3V法則」です。この3Vは、人と人とが直接顔を合わせた際のコミュニケーションを構成する、「言語(Verbel)」「聴覚(Vocal)」「視覚(Visual)」の3つの情報のことを指しています。
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(構成=伊藤博之 撮影=柳井一隆 図版作成=大橋昭一)

