つらい「肩こり」はなぜ発生するのか。原因と対策を専門医が解説する――。

ヒトの肩が発達した代償が「肩こり」

野球のピッチャーのように、上から肩をグルッと回して正確に遠くへボールを投げる――。この投擲とうてき能力は、ヒトが狩猟をするうえで重要な役割を担っていた可能性があります。また狩猟自体が、ヒトの進化にとって決定的な役割を果たした可能性があるとも報告されています。遺伝子的にヒトと近い存在であるチンパンジーですら、成長した雄でも12歳のヒトの3分の1くらいの能力しかありません。

ヒトがモノをより遠くに正確に投げることができるのは、肩関節の可動域がとても大きく、肩甲帯周囲の筋肉が発達しているからです。一方で、肩関節は他の関節に比べて自由な動作ができるからこそ、使いすぎて疲労が溜まったり、炎症を起こしたりすることがあります。肩に痛みを感じる原因の一つは肩の筋肉の炎症や張りです。とくに首の後ろから肩、背中にかけて広がっている僧帽筋を中心に張りを感じる症状は「肩こり」と呼ばれます。

肩こりには、姿勢などが原因で生じるもの、五十肩や腱板断裂など肩の病気に起因するもの、頚椎や眼精疲労、クモ膜下出血などが原因になっているものなどいろいろあります。いずれにしても、肩こりはヒトの肩が特別に発達してきた代償といってもよいでしょう。