3年後、5年後といった、会社の長期的な経営を見ることは、大切です。一つひとつの会社の動向はもちろん、経済全体の動向も見えてくるからです。長期的な経営を見るためには、やはり拠りどころとなる「ものさし」が、いくつかあります。それをご紹介していきます。

EPSとBPSが示すもの

気になる会社があって、その長期的な経営を展望しようとする際に、私がよく使っている「ものさし」として真っ先に紹介したいのは、「1株当たり当期純利益(EPS;Earnings Per Share)」と「1株当たり純資産(BPS;Book-value Per Share)」です。

EPSは文字通り、その決算期に稼げた当期純利益を発行済み株式数で割ったものです。株主は持株分に応じて、どれだけ当期純利益をあげてくれたのかがわかります。当期純利益は配当の原資になるので、EPSが大きくなれば増配を期待できます。そして、EPSは前にも触れた「PER;Price Earnings Ratio(株価収益率)」を算出する際の「株価÷EPS」という計算式に利用されます。

(構成=伊藤博之 撮影=横溝浩孝 図版作成=大橋昭一)