ここでは、「会計思考」によって3年後、5年後といった長期的な目で経済を見る方法を解説していきます。まず今回は、景気の先行きを判断するためには、何に注目すればよいのかを考えていきましょう。

日本人の懐は本当にお寒いのか指標で見る

そもそもその国の経済は、「一人ひとりの消費者がモノを買ったり、サービスの提供を受けたりしたいという意欲を高めて、それを実行に移す」という状況が、企業の供給能力以上に活発化しなければ、うまく回っていきません。日本におけるバブル経済崩壊以降の「失われた30年」と呼ばれた期間は、そうした消費者のモノやサービスに対する購買意欲が、企業の供給能力を極端に下回るようになって、深刻なデフレ不況に陥っていたのです。

とはいえ消費者だって先立つもの、つまりお金がなければ、モノを買うことも、有償のサービスを受けることもできません。日本人の懐は本当にお寒い状況なのでしょうか?

(構成=伊藤博之 撮影=横溝浩孝 図版作成=大橋昭一)