どれだけ頑張っても、停滞した状況からなかなか抜け出せない——そう、頭を抱える人も多いだろう。円安や物価高、人件費の高騰などが理由に思えるかもしれないが、「日本が勢いを失ったのは、コンフォートゾーンに入り現状維持ばかり目指してきたからだ」と亀田製菓のジュネジャCEOは警鐘を鳴らす。会社やチームが成長をしていくためには、どん欲に収益を追求し、仕事を深掘りする必要がある。亀田製菓はどのようにして収益を上げ、コンフォートゾーンからの脱却をはかったのかを教えよう。(2023年11月27日レター)

約40年前、私は日本に憧れてインドからやってきました。留学先候補はいろいろありましたが、当時の日本は飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していました。個々の企業も頑張っていて、世界の時価総額トップ10のほとんどが日本企業。自分もその勢いに乗って研究できるのではないかと考え、日本の地を踏みました。

残念ながら、その後日本は低成長の時代に入り、現在はかつての勢いを失っています。構造的な問題もあるのかもしれませんが、企業単位で見ると、成功してコンフォートゾーンに入ってしまったことが失速の原因のような気がします。人はコンフォートゾーンに入ると現状維持ができればいいと考え、仕事を深掘りすることをやめてしまいます。そうなるとハングリー精神を持った企業に勝てなくなるのです。

(構成=村上 敬)